【済生館】珍しい擬洋風建築「明治の最高傑作」歴史的診察室、木造三層楼とステンドグラス、医学資料など、2022-07
済生館(さいせいかん)は、山形県山形市の旧済生館病院本館。
昭和の宮大工職人達の手でよみがえった明治の最高傑作
東北地方で最も早く西洋医学を取り入れ、診療の他に医学校が併設され、オーストリア人医師ローレツを金沢医学校から招聘した。
建物は、当時横浜にあったイギリス海軍病院を参考にしたと言われている。中庭を囲んで病室を円形に配置し、正面の塔屋は三層構造の独特の形態になっている。
当時の人々は、この建物を親しみをこめて「三層楼」と名づけた。
1階の正面玄関は八角形のポーチ、2階は正十六角形の大広間、さらに螺旋階段で3階の八角形の小部屋に通じ、それぞれの階にベランダを配した構造になっている。
三層楼の背面には中庭を囲む十四角形の回廊があり、回廊に沿った八室の病室がある。木造の擬洋風建築として明治初期の代表的な建物であり、ドアの蝶番や屋根の亜鉛板などはドイツから輸入された。
建設は原口祐之を棟梁とし、山形の宮大工と300人の職人たちの手によって僅か7ヶ月で完成した。1878年(明治11)7月、山形を訪れたイギリス人のイザベラ・バードは、完成間近のこの建物を見て「大きな二階建の病院は、丸屋根があって、150人の患者を収容する予定で、やがて医学校になることになっているが、ほとんど完成している。非常に立派な設備で換気もよい」と評している。https://www.pref.yamagata.jp/110001/sangyo/sangyoushinkou/him_top/him_maincat1/him_15.htmlより
1873年(明治6年)に私立病院として設立され、1878年9月に当時の県庁そばに本館が竣工した。
国の重要文化財。建物自体は同市の霞城公園内に移築され山形市郷土館として利用されている。
主な展示物として医療および医学教育に関する資料、漢方および西洋医学資料、山形城や郷土の歴史関係の資料が展示されている。
3層楼なのに実は4層、ドーナツ型の1階部、2階は直径10メートルほどの柱のないホール、中3、4階へは螺旋階段、そしてステンドグラス。
内部構造は大変ユニークで、2階は16角形のホールで中央に柱は1本も立っていないのにもかかわらず、ホール上部に中3階・4階がのっている。これは当時日本に入ってきたばかりのトラス構造を利用して支えられている。
さらに、16角形から8角形へ楼の形を変えるのに際して使われているのは多宝塔上層部をくみ上げる工法で、日本古来の建築にも熟達した人物の指揮があったことがうかがえる。Wikipediaより
石積みの基壇の上に、立ち並ぶギリシア神殿風の列柱と柱頭飾り。鮮やかな色彩のペンキ塗りで彩られた細長い板材を重ねた下見板張り仕上げの外壁。
鎧戸付きの上げ下げ窓、構造的にはほとんど意味を為さない木製の形だけのアーチ窓に、原色の色ガラスを組み込んだステンドグラス。
それでいて瓦屋根を載せたり、寺社風の雲形や唐草文風の彫刻が彫られたりと、和風の雰囲気をどことなく残す、不思議な印象の建築である。
類い稀なる奇天烈なデザインの建築物として目を惹く存在である。
山形県内では、明治以後の近代期に完成した建築物としては最初に国指定の重要文化財になった事例でもあり、その希少性から全国的に見ても高く評価されている。
市民には三層楼と呼び親しまれていたこの建物、実際は4層の建物で、頂上部までは実に24mの高さを誇る。
最上階は周囲に半間幅のベランダを巡らせた八角形の小部屋で、360度山形市内を囲む山並みが眺められる、隠れた絶景スポットである。
https://www.tuad.ac.jp/gg/column/2862/より
注意 現在3階4階には登れない。老朽化のため?
アーチ型の出入り口にステンドグラスを施して西洋風でかわいい。
当時の医学資料がたくさん展示されていました。
なんと解体新書がありました。
中庭を取り囲むように円形に当時の診察室が並ぶ。
当時の養生訓。
ちょうど工事中で足場があった。中庭を囲む柱や装飾は西洋風だけど屋根には瓦。
2階に行ってみます。
階段を登り振り返ると
ステンドグラスの光が華やかで、どこか異国にいるようで楽しいです。
白と茶色そしてステンドグラスの彩り。
螺旋階段も西洋チックな装飾。手すりが細いっっ。
残念ながらここから上は老朽化のためか通行止めでした。
すぐ横には山形城跡がありました。
990-0826 山形市霞城町1番1号
問合せ先:023-644-0253
- 名称:旧済生館本館(三層楼)
- 竣工年:1878年(明治11)
- 所有者:山形市
- 設計者:筒井明俊
- 施工者:原口祐之
- 構造:木造、下見板、四層塔、擬洋風建築
- 指定:国指定重要文化財
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