「雑魚寝の避難所」は日本だけ。海外からは人権侵害、ハラスメントの声も。先進国イタリアに学べ

少なくとも昭和初期からざこ寝は続いている。

1930(昭和5)年の北伊豆地震の際、避難所でざこ寝する被災者たち=1930年11月(写真:毎日新聞社/アフロ)

「平成」になっても避難所の光景に大きな変化は見られない。写真は、阪神・淡路大震災時のもの。体育館での避難生活が長引き、食器棚などの家具を持ち込む人もいた=1995年1月31日、兵庫県西宮市(写真:読売新聞/アフロ)

 

 

ざこ寝の避難所で病気で亡くなる人が6倍

「1940年、ドイツ軍がロンドンを爆撃し、多くの市民が地下鉄に逃げ込み、ざこ寝の避難所が数カ月続きました。その結果、さまざまな病気が増え、エコノミークラス症候群の重症化で亡くなる人が普段の6倍にもなった。だから欧米では必ずベッドを使う。ざこ寝がよくないことを知っているのです」

 

 

 

榛沢特任教授らはこれまで、イタリアやカナダ、米国など外国の避難所も調査してきた。その経験からも「日本の遅れ」を痛感しているという。

「欧米は、避難所生活を限りなく日常生活に近付けることを目指しています。

だから、ざこ寝ではなくベッドが標準。水洗トイレを確保し、食事も普通のものを出します。避難所生活は日常生活の延長。そもそも『避難所生活が特殊な環境のもの』は日本での思い込みであり、間違いなんです」

 

2016年8月のイタリア中部地震では、その日のうちに各地でテント村が設置された=同年8月25日(写真:AFP/アフロ)

「避難所に必要なトイレやベッドの数は、病院と同じに。食事は、キッチンカーなどでその場で作るのが基準です。避難所で作って、その場で配膳するのが安全だからです。そのためには無償のボランティアではなく、訓練を受けた職能支援者が絶対に必要です」

なぜ、日本でそれができないのか? 米国の連邦緊急事態管理局(FEMA)やイタリアの市民保護局のような国の組織がなく、予算が付かないことが大きい。現状では、欧米のように『発災から3日以内にTKBをそろえる』という対応ができません。

また欧米では、国の出先機関から被災地に人が送られます。

日本のように被災自治体の職員が避難所運営のために寝泊まりするのは人権的に問題があると考えられています。

 

性犯罪も発生しやすい劣悪環境

雑魚寝が多く、トイレが男女別になっていないなど、環境が整っていないがために暴力が助長されてしまう「環境不備型」

そしてもうひとつが、被災して支援がなければ生き延びていけない人に、支援するかわりに、その見返りとして性行為や側にいて世話をするよう要求したりする「対価型」だ。

「対価型の中でも特に忘れられないのが、若いお母さんで、子どもを連れてもう食べるものもなくて困っているところに“特別に食べものをあげるから夜、取りに来て”と男の人に言われて行くと、あからさまに性行為を強要されたという話。現代の日本でこんなことがあるのかと、驚きました。

http://news.line.me/detail/oa-shujoprime/5c7f81c89a7c

 

 

 

「避難所は良くないほうがいい」という政府や自治体の関係者も

日本では、「避難所を良くすると居ついてしまう。早く出ていってもらうためには良くないほうがいいんだ」という声を、少数ですが、政府や自治体の関係者から漏れ聞きます。

 

「避難所は暑くても寒くても当たり前ということ自体が良くない。アウトドアでは、雪の中でもキャンプはします。でも、体育館や学校のほうが寒い。日本の住宅は断熱が良くないので、普段から寒い。だから気にならないのかもしれませんが、今の状況はテント以下です」

「体育館を避難所にする先進国なんて存在しない」災害大国・日本の被災者ケアが劣悪である根本原因

欧米なら「人権侵害」「ハラスメント」になる

https://president.jp/articles/-/55248?page=1

 

災害関連死を減らすためにも、いち早く環境改善に取り組まなければならないのが、いわゆる「雑魚寝の避難所」です。その風景は、約100年前の関東大震災から何も変わっていないのですから。

 

2012年5月にイタリア北部を大地震がおそいました。その2カ月後、広場に大型テントが整然と並んでいる。歩いて入れるほど屋根が高いテントは被災した家族ごとに割り当てられていました。カーペットが敷かれ、人数分のベッドや冷暖房装置も設置されていました。「雑魚寝の避難所」との差に目を見張りました。

トイレやシャワーは、移動のコンテナ式でスタッフによって清潔に保たれていました。なかにはコインランドリーや子どもの遊具を備えた避難所もありました。

食堂も、巨大テントで、キッチンコンテナで調理したばかりの料理を口にできる。

欧米では被災者に温かい食事を提供するのが当たり前になっていました。

「非常食」を食べるのは日本だけ。

2016年アマトリーチェ避難所の食事。イタリアでは被災地でもできたての料理が食べられる。

2016年アマトリーチェ避難所の食事

撮影=榛沢和彦先生

 

コンテナ製トイレ外観

撮影=榛沢和彦先生
コンテナ製トイレ外観(フィナーレ・エミリア避難所、2012年7月)
コンテナ製トイレ内部
日本では被災した自治体の職員が避難所に寝泊まりして、管理、運営を担当するでしょう。当然ですが、被災自治体の職員も、被災者なんです。避難所運営に奔走する自治体職員の姿が、日本では美談として取り上げられますが、アメリカやヨーロッパなら、人権侵害、あるいはハラスメントとして問題になるでしょうね。
避難所が、被災者の立場や人格を尊重しないハラスメント状態になっていることを支援者だけでなく、被災者自身も気づいていません。なかには、食事などの環境をよくすると被災者が自立せずに避難所に居着いてしまうと口にする運営者もいます。
3.11の避難所を撮影した写真をアメリカやヨーロッパの支援者に見せたところ「クレイジー……」と絶句された経験があります。

災害専門省庁の設立が急務

災害対策の問題点のひとつとして、避難所の設置部署と運営部署が違うことがあげられます。発災するまでの事前の準備は、総務省の管轄で、発災後は厚労省に代わる。

その弊害をなくすためにも災害専門省庁の設立が急務です。

イタリアでは災害関連の国家予算は約3000億円。この予算で、テントやトイレ、キッチンなどを備蓄し、搬送用のトレーラーやトラックのメンテナンスを行っています。

 

 

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